シューゲイザー

わたしの家の近くには小さな川が流れているのですが、そこを通りかかるとき、いつも誰かが、橋から川を覗きこんでいます。それは、友達同士とおもわれる数人のおばあちゃんであったり、仕事の休憩中なのかタバコを吸っているサラリーマンであったり、作業服のおじさんであったり、電話をしているOL風の女性であったりします。気になって、わたしもたまに覗きこんでみるのですが、せせらぐ水面に自分の顔が映し出されるばかりです。みんな、なにを覗きこんでいるのですか。    覗きこむといえば、クレジットカード会計で暗証番号を入力するとき、そっぽを向いて「見ていませんよ」ということを示す店員さんが多いですけど、このあいだ最寄のジュンク堂書店で本を買ったときの店員さんは、自分の靴を見るようにぐっと首を下に向けたんです。めずらしいなと思いました。    数年前、洋楽が好きな12歳の男の子に、おすすめの音楽を聴かれて、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを伝えたのだけど、彼は元気にしているだろうか。彼もいつも首を下にもたげていた。

 

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