2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしは年末が一番すき。年末は、一年の中で心が一番休まるから。つまり、終わりがすき。見通しのもてない始まりではなくて、見通しのもてる終わりが、わたしの心をおだやかにする。 今敏が亡くなったときも、志村正彦が亡くなったときも、高橋幸宏が亡くな…

炭鉱のカナリア

「実家の太さは制作をつづける上で重要」というような話をよく見聞きする。わたしも学生の頃、お金のあるひとは生活に強い不安を抱かずに制作できるからいいな、と思うことはあった。また、自分のコンプレックスによる負のエネルギーを発しているひとが少な…

〇〇の神様

〇〇の神様が祝福している、と思うときがある。 たとえば、原美術館でトゥオンブリーの絵をはじめてみたとき、絵の神様が祝福している、と思った。かつて作者によってキャンバスに定着させられた色が、線が、今もそこできらきらしていた。 高畑勲の「かぐや…

通勤のバス、結露して曇りガラスになった窓に、信号の赤や緑が、街灯の白が、いつもより広くぼんやりと輝いている。窓をなぞって、その光を鮮明なものにしたいけれど、我慢する。わたしの指は、いつもおそるおそるしている。 祖母の家の縁側の障子紙に、少し…