2022-01-01から1年間の記事一覧

冬休みの宿題

『アンダーグラウンド』(1995) 『アダムスファミリー2』(1993) 学生のころ、大学のシアタールームに友達3人集まって、クストリッツァの『アンダーグラウンド』を観たことがある。十字架にロープでくくりつけられた車椅子が、炎上しながらそのまわりを…

ソフィー

Hauru no ugoku shiro (2004) - IMDb ソフィーの鬱陶しいまでの卑屈さに、シンパシーを抱いたまま、大人になってしまった。「わたしなんか美しかったことなんて一度もないわ」と「年寄りのいいところは失うものが少ないことね」の間を都合よく揺れ動きながら…

白と黒、どちらに温かさを感じますか?わたしは黒。黒に感じる少しの温かさと、孤独に感じる少しの温かさは似ているような気がする。じゃあ死は? わたしはこれまで3回、「死ぬかもしれない」と思ったことがある。 1回目は小学生、家族で伊豆白浜海岸に行…

これが私の優しさです

先生と呼ばれて働くなかで、知らないうちにその立場にあぐらをかいてしまうんじゃないかとこわい。自分が、ひとに影響をあたえられる存在だと思いこんで、おごり高ぶってはいないか。または将来もしかして、親になるときが来たとして、傲慢になってしまわな…

中指を立てるということはひとを罵倒する行為なのだということを覚えたがために、中指を立て、または立てられ、顔をまっかにして怒る子。そんなこと知るまえは、怒ることはなかったのに。知る・覚えるという知識的な作業を通して、最も感情的な怒りが発生す…

おしろい花が咲いている。 おしろい花の種をつぶすとでてくる白い粉で、子どものころ、お化粧ごっこをした。その粉に毒があるとは知らず、身体のいろいろなところに塗った。おしろい花の白い粉を塗るとき、わたしはお姫様で、人魚で、妖精だった。 いま、朝…

授業中に大声で「おっぱい」を連呼する子に、「おっぱいって何度も言うと、おもしろいと思っているの?おもしろくないよ」と言ったあと、黙ったその子の顔をみて、自分が上沼恵美子ではなかったことに気づき、「おもしろいかどうかを審査すべきじゃなかった…

「これはね、爆発したごはん」

子供たちは、線をかいたり、色をぬったりすると、どうしてそうしたのかをわたしに話す。自分の表現がもつ意味をかんがえる。「このぐるぐるは、うずしお、船がよけてとおる」「これは、朝と夜のあいだの色だよ」 表現がもっていたはずの意味を、無かったこと…

地縛霊

廊下で出会い頭、2年生、元気いっぱいな女の子に「ねえ、先生はハロウィンの仮装なににするつもり?」と問われ、「わ、わたしは・・・わたしは・・・」と答えに窮しているうちに、「わたしは黒猫さんだよ、ニャンニャン♪」と言い残して女の子は消えていた。…

帰路、自転車をこぎながらマスクをずらすと、キンモクセイの冷たい空気でむねがいっぱいになる。わたしたちは、死なないために生きているわけじゃない。

映画を観終わったあとに、伏線やメタファーについてばかり話すひとがいる。表現されたものの表面をなでながら、「ほら僕を気持ちよくせよ」とそのイスに座っていたのですか?あなたというものの人生を総動員して観ろ。それが知性を駆使して豊かに生きるとい…

まきもどしして

ceroの「contemporary tokyo cruise」を聴きながら街を歩くのがすきなのですが、このあいだ、新宿を歩きながらいつものようにこの曲を流していたらふと、「まきもどしして」のフレーズのあとにそれ以前のコーラス部分が逆再生されていることに気がついた。何…

さよならのあわい

そうね、やっぱり、一人一人がね、わたしが夜明けになると一人で歩いていくようにね、もし帰るときがあったら、一人一人歩いていってくださいみたいなね、わたしも歩いていくわみたいなね (浅川マキ 1970、全日本フォークジャンボリー) わたしは、あなたと…