暴力的に青い冬の空を、翼のないホンダが見上げている、そのからだを同じ青でいっぱいにして。そこでなにを考えているの。 わたしは、自分のからだを、自分のものにしたい。行きたいところへ、行きたいときに、飛んでゆきたい。会いたいひとに駆け寄って、知りたいことを知り、苦しいくらいに胸をいっぱいにしておきたい。 照りつけるのに芯から冷たいアスファルトに、いつの間にかわたしもホンダと一緒に横たわっていて。わたしのブルーのリーバイス、大切に磨いたローファー、紺色に染めた睫毛が、冬の青になっていく。「どうして睫毛を紺色にするの」「紺色はわたしの瞳の補色だから」「もうきっと瞳も青になっているよ」