中指を立てるということはひとを罵倒する行為なのだということを覚えたがために、中指を立て、または立てられ、顔をまっかにして怒る子。そんなこと知るまえは、怒ることはなかったのに。知る・覚えるという知識的な作業を通して、最も感情的な怒りが発生するんだから、ひとは不思議。そんなこと、知らなければよかったのかもしれない。わたしの怒りも、誰かに決められたものなんだろうか。       怒るべきとされる場面で怒りの感情が芽生えなかったことに不安を抱く男の映画をみた。一週間かけてわたしの身体いっぱいに降り積もっていた子どもたちの怒りは、アップリンク吉祥地の、赤くて、少しひび割れた椅子に、143分かけて吸い込まれていった。        さっぱりしたわたしは、マルイでシャインマスカットを買って、家に帰ってすぐ食べた。「緑色っぽいシャインマスカットより、黄色っぽいシャインマスカットのほうが甘いんだな」という感情は、わたしがわたしで決めたものだと、とりあえずは言い切れる。

 


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『窓辺にて』、わたしにはパフェよりも、シャインマスカットが食べたくなる映画でした。