「大山咲み」

わたしは自分のことを、どちらかというと、感受性への水やりを熱心にしているほうだとおもっていたけれど、これまでより少し落ち着いた生活を4月からはじめて、自分の心がおもっていたよりぱさぱさとしていたことに気づいた。    若葉はつやつやしていて、少し、しわしわしているということ。 ハスやサトイモじゃなくても、葉っぱは雨をまんまるのしずくにしてころがしているということ。 藤棚の下に座ってみるということ。 みんなでお酒を飲んでいると、誰かが歌いはじめるその声は心地いいということ。 暖かい夜の町はお祭りのにおいがするということ。 シャツを着て自転車をこぐと、風を背中につかまえられるということ。 となりのひとと話してみたら、わたしの考えをわかってくれることがあるということ。     しばらくそんなこと、忘れていました。    この音楽を聴くときもわたしの心はたっぷり水やりをされて、鉢の底から水が流れでるみたいに、涙がおちる。

 


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